サイダーハウス・ルール【評価:50点】

サイダーハウス・ルール

あらすじ・概要

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1943年、メイン州ニューイングランドの孤児院で生まれ育った青年ホーマーは、父親のような存在のラーチ医師のもとで医術を学び、孤児院で望まない妊娠をした女性たちの出産、あるいは中絶手術を手伝い、医師同等の技術と知識を身に付けていた。貰われていく子供達もいる中、ホーマーはラーチ医師の強い期待と愛情に半ば縛られるような形で孤児院暮らしを続けていたが、外の世界への憧れを捨て切れずにいた。

1944年のある日、中絶のためにウォリー・ワージントン陸軍中尉とその恋人キャンディが孤児院を訪れる。ふと思い立ったホーマーは、少尉に、”車に乗せて行ってくれないか”と願い出る。ウォリーは快諾し、ホーマーは二人の車に同乗して孤児院を離れ、新たな旅に出る。
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タイトル サイダーハウス・ルール
製作 1999年
原題 THE CIDER HOUSE RULES
製作国 アメリカ
上映時間 131分
ジャンル ドラマ
監督 ラッセ・ハルストレム
脚本 ジョン・アーヴィング
原作 ジョン・アーヴィング
出演者 トビー・マグワイア
マイケル・ケイン
シャーリーズ・セロン
受賞 アカデミー賞2000年72回:助演男優賞脚色賞

評価

50点

レビュー

あなたは優しい嘘をついていますか?

むかし母体内でやっと生まれることに喜びを感じる胎児の前に吸引器が無情にも・・・という後味の悪い話を何かで見ました。

この世には望まれない胎児が毎年日本だけで20万人が生命を受ける前に失っています。
そして生まれたとしても親から望まれない子供は虐待や孤児という運命を辿る。最近も虐待の上に命を失う子供のニュースが後を絶えません。

この子たちにとってどちらが幸せだったんでしょうか?生まれるだけでも幸せ?それともそんな苦しみを知らずにいれたほうが幸せ?

この作品のテーマは「優しい嘘」だ。
他者のルールではなく自分のルールを創りだす。
自分のルールといってもジャイアニズムといった自己愛によるルールではない。他者の幸せを願うための自分だけのルール。

物語は堕胎もルール違反であった第二次世界大戦中の時代を通して孤児院でそだったトビーマグワイア演じる青年ホーマーの自我を見つけるまでを描いている。

この世は心の弱い人で溢れている。強がってみせるあの人も辛い現実から逃れたくて罪や嘘を繰り返す。それでもその事実からは逃れることができない。映画の中のように美しくあればいいが現実はもっと酷だ。

不倫、堕胎、近親相姦 この作品もそんな罪と嘘で溢れている。
そのルールを破ってでも相手の幸せを願うそんな物語だ。

けしてこの物語にでてくる登場人物達を正当化できるわけではないが自分にとってのルールを見つめなおすいい機会になるだろう。

この映画は地味で世にあふれているエンタメ映画と比べると素っ気ないが精進料理のようにしっかりとした本質がある。「ギルバードグレイプ」や「ショコラ」の監督なのでこれらの作品が好きならオススメします。

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