ぼくたちの家族【評価:86点】

ぼくたちの家族

あらすじ・概要

石井裕也監督により約3年の歳月をかけて映画化され、2014年5月24日に公開された。同年8月21日から9月1日にカナダで開催される第38回モントリオール世界映画祭“ワールド・グレイツ部門”や釜山国際映画祭への出品が決定している。

監督の石井は、まだ自分が20代という若い感性のうちに“家族”というものを改めてしっかり撮りたいと思っていたため、今までの作品ではプロデューサーに一任していたキャスティングにも積極的にこだわり、妻夫木聡、池松壮亮、原田美枝子、長塚京三という演技の面で信頼できる4人の主要メンバーを集めた。そしてその期待通り、俳優陣は製作陣が長年準備してきたものを一瞬で凌駕する芝居を見せてくれたと監督はのちのインタビューで語っている。

主なロケ地は山梨県上野原市の「コモアしおつ」。他に、神奈川県相模原市の藤野駅など。映画の舞台となっている三好町は実際に原作者の早見和真が住んでいた町で撮影され、家もセットではなくプロデューサーがその町の空き物件を探して撮影された。
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若菜家の平穏はある日突然、崩壊した。母・玲子が脳腫瘍となり、余命一週間と宣告され、父は取り乱し、長男の浩介も次男の俊平も冷静ではない。母の記憶は脳の腫瘍のせいで曖昧に、そして振る舞いは少女のようになり、家族への不満を暴露しだす。数々の事実が発覚し、一家はばらばらになっていくが、浩介と俊平は必死で悪あがきをしようとする。
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描かれているのがどこにでもある普通の家族で、自分の家族を振り返って誰もが共感できる家族ドラマになっていることが映画館スタッフなどの間で高評価を得た他、作家のあさのあつこは「単純な言葉では決して言い表せない不思議な情動に駆られた。何度でも見たくなる映画である。」、スタジオジブリの映画プロデューサーである鈴木敏夫は「絶望は希望の始まりということを教えてくれる作品。大傑作!」と評価。映画評論家の宇田川幸洋は、「母親の病気発覚を機に家族がまとまっていく話と言えなくはないが、単純な美談ではなく、闘病記である以上に多額の借金をめぐる金の話が作品にリアリティを与え、おもしろくしている。」と述べた。リリー・フランキーは「妻夫木聡演じる引きこもりの過去をもつ浩介の笑顔でリアリティを感じたし、俊平を演じていた池松壮亮は人間と子犬との中間のような独特な空気感が素晴らしく、彼は天才だ。」と、作品だけはなく俳優陣についても称賛した。原作者の早見和真は「自らが小説で訴えたかったことを100%汲み取ってくれた映画になっていて、小説家として幸せ。間違いなく素晴らしい映画だ。」と監督に感謝のコメントを述べている。その他にも有川浩、よしもとばなな、市村正親ら著名人も絶賛のコメントを寄せている。

2014年5月13日に日本外国特派員協会で行われた記者会見には記者100人が集まり、映画や本作のテーマである”現代の日本の家族”に対する質問が相次いだため、会見は予定時間を大幅にオーバーした。香港での上映が決定した他、台湾や韓国など13か国から上映オファーを受けた。

タイトル ぼくたちの家族
製作 2013年
原題 ぼくたちの家族
製作国 日本
上映時間 117分
ジャンル ドラマ
監督 石井裕也

脚本 石井裕也
原作 早見和真
出演者 妻夫木聡
池松壮亮
原田美枝子
長塚京三
黒川芽以
佐々木勝彦
梅沢昌代
受賞

TAMA映画賞2014年6回:最優秀作品賞

評価

86点

レビュー

苦しい時こそ笑っていよう

舟を編むで日本アカデミー賞を取った石井裕也監督作品。
これはどこにでもある家族の話。
物語は母の突然の脳腫瘍の告知で始まる。

脳腫瘍に徐々に侵され母が家族の大事な思い出をポロポロこぼしていく過程は非常にリアルで自然と涙が止まらなくなる。

そして母の病気によりそれぞれの家族への
不満が浮き彫りになる。普段気づかなかった。いや気づこうとしなかったそれぞれの家族の気持ちが不満という形でトプトプと溢れていきます。
ただ溢れるだけのそれを目の前でただオロオロするだけの家族。

池松くんがまたズルい弟役を演じています。勉強もせず留年し金にルーズで薄情な行動や台詞にイライラさせられます。僕が妻夫木くんの役だったらもうぶん殴ってますよ。それほど憎たらしい演技を見せてくれます。

しかし彼は後半に家族に大きな大きな救いを見出してくれます。

俺がしっかりしなくては。長男の妻夫木くんが立ち上がります。
どうする?父は頼りない。薄情な弟。金の援助に否定的な妊娠中の嫁。誰も助けてくれない。俺がやるしかない。でもどうやって?発覚した母の借金300万と父の借金1200万円、母の看病、手術代、入院費 何から手をつけたら?長男をひたすら重苦しい空気と絶望で圧迫していくさまは非常にリアル。

そんな絶望の中、少しずつ家族が向き合い力を合わせて協力していきます。これはどこにでも潜んでいる家族再生の物語。地味ですが非常に好感のもてる上質な作品です。

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