リービング・ラスベガス【評価:50点】

リービング・ラスベガス

あらすじ・概要

ニコラス・ケイジは第68回アカデミー賞で主演男優賞を、第53回ゴールデングローブ賞で主演男優賞を獲得した。
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ハリウッドで売れっ子脚本家だったベン(ニコラス・ケイジ)は酒が原因で会社をクビになり、金銭面で救いを求めた友人にも拒絶され、妻子も逃げていった。ベンは会社から退職金がわりの小切手を手にしたことで、死ぬまで酒を飲み続けようと決意し、映画の街ロサンゼルスから、酒を24時間飲めるカジノの街ラスベガスに車を走らせ、寂れたモーテルに滞在する。

ベンはネオン輝くラスベガスの街を車で走らせていたある日、路上で高級娼婦のサラ(エリザベス・シュー)と出会い、1時間500ドルの口約束を結び、モーテルの一室に連れ帰り、一夜を共にする。

タイトル リービング・ラスベガス
製作 1995年
原題 LEAVING LAS VEGAS
製作国 アメリカ
上映時間 114分
ジャンル ドラマ
監督 マイク・フィギス
脚本 マイク・フィギス
原作 ジョン・オブライエン
出演者 ニコラス・ケイジ
エリザベス・シュー

受賞 アカデミー賞1996年68回:主演男優賞
ゴールデングローブ賞1995年53回:主演男優賞(ドラマ部門)
ロサンゼルス映画批評家協会賞1995年21回:作品賞
インディペンデント・スピリット賞1996年11回:作品賞
ニューヨーク映画批評家協会賞1995年61回:作品賞

評価

50点

レビュー

真面目すぎるゆえに不器用な2人の愛の物語

シド&ナンシーや太宰治&山崎富栄もそうなんだけどダメ男とダメ女が出会ったら破滅しか待ってないんだなって思わさせる物語。

なんとこの作品であのB級いや糞映画ばかり出演してゴールデンラズベリー賞の常連になってるニコラス・ケイジが
ゴールデングローブ男優賞。アカデミー主演男優賞を取ってるんですよ?信じられます?

原作はジョン・オブライエンの半自伝的小説でこれが彼の遺書でもあります。
この人は映画化が決まってすぐに計画したように拳銃自殺をします。だから監督は最初この作品をやめようと思うんですね。でも彼の功績を残すことにしたんです。

この世には2つの「社会の不適合者」のタイプがいます。
不真面目ゆえに社会の不適合者となるものと真面目すぎるゆえに社会の不適合者となるもの。
この2人は後者です。

マジメすぎるが故に不器用で妻子に逃げられ会社はクビになり退職金を使い酒に逃げる毎日のニコラス・ケイジ演じるベン。
ラスベガスで死に場所を見つけるために彷徨いついたその先にエリザベス・シュー演じる娼婦セーラと出会う。
この女性もヒモ男に暴力を受けて身体を売って稼いだ金をむしり取られる毎日。

そんな欠けたモノ同士が退廃の街ラスベガスで運命的出会いをする…

セーラはひたすら献身的にアル中のベンを包み込みます。ベンもまたセーラの寂しさを包み込みます。

でもこれ無償の愛なんかじゃないんです。ただの孤独なカケラ同士の寄り添い合いなんです。
独りで死ぬのが寂しいだけの男と孤独から逃げ出したい女の寄り添い合い。

欠片は所詮カケラだから2人寄り添ってもパズルのピースみたいにピタリと当てはまるわけないんですよ。
寄り添ってもいびつな形の2人は満たされる事なんてないんですよ。

もちろん2人はそんなことわかってるんです。わかってて寄り添うんです。
そうしないと孤独で何もかも砕け散ってしまうから…

そして2人にはわかってるんです。どうあがいても悲しい結末しか待っていないことを…

そんな中でひたすら孤独の底へ手を繋ぎ堕ちていく2人。
堕ちに落ちた深淵のまだ奥深くに辿り着いたその先に理想の愛が落ちていた。これはそんな物語です。

僕はお酒は楽しく飲むものだと思ってるので飲み過ぎて潰れちゃうほど飲まないし記憶が飛ぶこともありませんので
正直言うとこの人達の気持ちがわかりません。
もちろんシド&ナンシーや太宰治&山崎富栄の気持ちもわかりません。
世の中には沢山の人が孤独を忘れるために酒を浴びます。飲めば飲むほど孤独という深淵に堕ちることを知りながら。
今日もどこかで孤独に潰れそうな人がどこかでひっそりと泣いている。そんな事を感じさせる作品でした。

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