あらすじ・概要
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鈴子は短大を卒業して就職もできずに、しかたなくアルバイト生活を送っているどこにでもいる女の子。どうにかしてこの生活を変えようと考えている中、ひょんな事件に巻き込まれてしまう。 「百万円貯まったら、この家を出て行きます!」 と家族に宣言し、百万円を貯めるたびに次から次へと引越しをして、1人で生きて行く決心をする。
タイトル | 百万円と苦虫女 |
製作 | 2008年 |
原題 | 百万円と苦虫女 |
製作国 | 日本 |
上映時間 | 121分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | タナダユキ |
脚本 | タナダユキ |
出演者 |
蒼井優 森山未來 ピエール瀧 佐々木すみ江 齋藤隆成 |
評価
レビュー
他人との距離のとり方が難しいと感じている人へ
前回のファイト・クラブが男性版「自分探し」だとしたら
今回の百万円と苦虫女は女性版「自分探し」なのかなと思います。
監督はタナダユキ。女性らしいとても透明で繊細な世界を描く。
物語は人との付き合いが苦手な21歳の女の子を蒼井優が演じる。
物質的に恵まれ文明機器の発達によりいつでもコミュニケーションが取れるようになった現代の中で主人公の鈴子は携帯電話さえもたない女の子。
当然親友や彼氏と呼べる関係もおらず小学生の弟にも煙たがられる存在。
とあることがきっかけで警察の厄介になり実家に住みづらくなり
鈴子は100万円を貯めて実家からでる決心をする。
とにかく色んなものと咬み合わない。
そしてそれを良しとする鈴子。
そして周りの人達もそれに呼応するようにすこし不器用でずれていく毎日を送る。いつからボタンの掛け違いが起こったのだろう?
それはほんの些細なことかもしれない。
それでもお互いその掛け違いに気づかず気づいた時には距離が離れててその度に面倒くさくなって逃げだす鈴子。
他人との距離のとり方って改めて難しいなと感じさせられます。
なんでストレートに言えば伝わることを人は中々伝えることができないんだろう…
人との関わりはすこし面倒。
でもやっぱり寂しくなるしどこかで心の繋がりを求めてる。
一人は好きだけど大勢で笑ってる人たちを見るとどこか羨ましくなったりする。
結局鈴子がしていたのは「自分探し」ではなく「現実逃避」
ずっと何かから逃げ続けてきた結果に今の自分がある。
ラストはやっぱりそれが正解だよね。
正解なんだけどすごくすごく切なくなっておもわず「あああああ」って言っちゃった。
あえてファイト・クラブと同じレビューの形で終えます。
それは悲しくハッピーで美しい破滅的なラストに全て反映されています。
まずは自分と向き合い自分を好きになること。そんなことを感じさせる作品でした。
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