あらすじ・概要
キャストは海難者である「我らの男」を演じるロバート・レッドフォードのみであり、会話箇所もほとんど存在しない。2011年の『マージン・コール』に続いてチャンダーの長編映画2作目である。第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション外でプレミア上映された。
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インド洋をヨットで単独航海中の男は水音で眠りから覚める。気が付けば、船室に浸水が起こっていた。海上を漂流していた40ft形の赤いドライコンテナの上部角が激突し、ヨットに横穴が開いてしまった。航法装置は故障し、無線もラップトップも水浸して使い物にならなかった。
雨雲が迫り、雷鳴がとどろき、暴風雨が襲い掛かる。嵐によってヨットは決定的なダメージを受け、止めようの無い浸水が起こってしまった。しばらくの間は衝突したコンテナにヨットをロープで繋ぎ、破損していたコンテナの外壁から積荷のダンボール箱をで引っ張り出し、食料等が無いかと必死に探すが、中身はただの運動靴だけだった。その直後に突然壊れたコンテナから大量の運動靴が荷崩れを起こしながら洋上に散乱し、期待の外れた男を更に精神的に追い込むことになってしまった。
タイトル | オール・イズ・ロスト 最後の手紙 |
製作 | 2013年 |
原題 | All Is Lost |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 106分 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | J・C・チャンダー |
脚本 | J・C・チャンダー |
出演者 | ロバート・レッドフォード |
受賞 | ゴールデングローブ賞2013年71回:作曲賞 |
評価
レビュー
言葉の重みをしっかりと刻みこんでくる作品
物語は自家製ヨットでインド洋を旅する男が漂流するコンテナにぶつかり船に穴が空く事故から始まる。
この話は面白いかというと正直に言うと面白くありません。
だってストーリー要素ほぼなし。
主演は名前も過去もよくわからない主人公1人のみ。
この男の船の事故の経過を淡々と極力シンプルにBGMとセリフを削ぎ落とし物語は進みます。そこにエンターテイメント的要素はほぼありません。
なのになんだこの観終えた時の感動は…
ラストは不覚にも涙ぐんでしまいました。
主演は「明日に向かって撃て」「スティング」のロバート・レッドフォード。
ひたすら寡黙で孤独なダンディズムを熱演している。爺しぶいわ。
この物語は爺一人芝居なのでもちろん会話というものが一切ない。
あるのは2~3のセリフシーンのみ。
そしてそれは言葉の重みが大きく活きてくることになる。
ときおり発する男の一言一言がズシリと重くその現実と重なり心を踏みつけていく。
そして思わさせられる。言葉ってこんなにも大事なのかと…
しかし孤立した男のその重い重い言葉は無情にも誰にも届かない。
時折みせる海中からのシーンは非常に美しい。
そんな海の静寂の中、静かに救いのない不幸は積み重なり
死はヒッソリと歩み寄ってくる。
言葉がなくなれば言葉の重みがわかり死が近づけば生もまた隣り合わせであることを意識させられる。
必要最低限シンプルに削ぎ落としたからこそこの大事なテーマをしっかりと意識できるんだろう。
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