現金に体を張れ【評価:80点】

現金に体を張れ

あらすじ・概要

一滴の血も流すことなく、大金獲得のための犯罪計画を立案した主人公が破綻に至るさまを描いたフィルム・ノワールの1作である。
1970年11月7日、テレビ朝日「土曜映画劇場」で『華麗なる完全犯罪 競馬場現金強奪作戦』の題名でTV放送されたことがある。

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人生に問題を抱える男達が、刑務所から出たばかりのジョニー・クレイが立てた競馬場売上金強盗計画に加担する。ダービーの日に競馬場内で騒ぎを起こしその隙に強盗を行うというジョニーの計画は確実に成功するものと思われたが、メンバー間の結束が次第に乱れていき計画は徐々に狂い始める。
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タイトル 現金に体を張れ
製作 1956年
原題 THE KILLING
製作国 アメリカ
上映時間 85分
ジャンル クライム
監督 スタンリー・キューブリック

脚本 スタンリー・キューブリック
ジム・トンプスン
出演者 スターリング・ヘイドン

評価

80点

レビュー

おとなしいながらもキラリを片鱗を魅せる天才と言われる所以

キューブリック監督のハリウッド進出第一弾の映画。キューブリックと言ったら時計じかけのオレンジ、シャイニング、フルメタル・ジャケット、2001年宇宙の旅といったものが特に有名。まるでナイフの様に鋭い視点と風刺でザックザック刺してくるキューブリックの作品の虜になる人も多いはず。これらと比較すると確かにこの作品はおとなしい。

しかしおとなしいながらもキューブリック独特の魅せ方をグイッと主張してくる。

まず1つ目は時間軸を神のように操る。今では物語の時間軸をずらすのは当たり前になってきているがこれを明確にビシッと持ってきたのはこのキューブリック。たしかに違う人物で同じ場面が何度かでてくる。これは当時ハリウッド進出ながら低予算の中、苦肉の策として同じシーンを使ったことが結果的にうまく見せているのかもしれない。そしてこの時間軸のずれはタランティーノのレザボア・ドッグス、ジャッキー・ブラウン、パルプ・フィクションで色濃く影響を与えている。

2つ目は迫力ある競馬シーン。三脚カメラで撮ることが当然であったこの時代に彼は小型カメラをもたせ間近で撮影しているのだ。完璧主義のキューブリックならではの魅せ方だ。

そこに人間関係を極力シンプルに見せながらジワリとラストまで持っていってからのラストスパートで一気に加速し現実の無常さをしっかり見せてくれる。

これが彼を天才と言わせ後に多数の監督に影響を与えたハリウッドデビューである。

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