あらすじ・概要
アメリカが誇る精鋭特殊部隊ネイビー・シールズによるアフガニスタンにおけるターリバーン指導者暗殺作戦中に起きた、ネイビー・シールズ史上最大の悲劇といわれるレッド・ウィング作戦を、実際に作戦に参加し、ただ一人奇跡の生還を果たした元隊員マーカス・ラトレルの手記『アフガン、たった一人の生還』を原作に映画化。
舞台はアフガニスタンだが、撮影はアメリカのニューメキシコ州で行なわれた。
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2005年6月、アフガニスタン山岳地帯。現地の武装集団を率いるターリバーンの幹部の排除・殺害を目的としたアメリカ軍のレッド・ウィング作戦のため、アメリカ海軍特殊部隊ネイビー・シールズのマイケル・マーフィー大尉ら4名の兵士はヘリコプターからロープで険しい山岳地帯に降り立つ。
彼ら偵察チームの目的は現地を偵察して無線連絡、味方の攻撃チームを誘導し、可能であれば目標を殺害すること。しかし徒歩で目標地点に到達した彼らは、思いがけず山中で山羊飼いの3名の現地人と接触してしまう。拘束した3名をどう処置するか、電波状態が悪く前線基地との連絡が取れない中、止むを得ず彼らは作戦を中止し、ターリバーンとの交戦を覚悟の上で3名の現地人を解放する。
それから1時間とたたないうちに彼らは山中で100名を超えるターリバーン兵に囲まれ、交戦状態に陥る。
精鋭部隊であるシールズの4名は徹底的に戦うが、元来の任務が偵察のため、手にした武器は小火器のみ。数に勝りライフルや機関銃、RPG擲弾筒で武装するターリバーン側の猛烈な攻撃の前に次々に被弾、負傷し、時には仲間を背負って逃げ、時には断崖から転がり落ちるように飛び降りて、後退に後退を重ねることを余儀なくされる。
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タイトル | ローン・サバイバー |
製作 | 2013年 |
原題 | Lone Survivor |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 121分 |
ジャンル | 戦争 |
監督 | ピーター・バーグ |
脚本 | ピーター・バーグ |
出演者 | マーク・ウォールバーグ テイラー・キッチュ エミール・ハーシュ ベン・フォスター エリック・バナ |
評価
レビュー
ただ一人生き残った兵士のアメリカ側の事実の物語
初っ端から軍事用語のオンパレードで相当のマニアでもない限りセリフのやりとりについていけるとは思えない。ただここ最近よりリアル感を出すためにあえて専門用語を使用する松浦美奈が人気のようだ。確かにトンデモ翻訳者と謳われる戸田奈津子だとこの空気感は出せないか?ただ彼女を擁護すると「リアル」をとるか「わかりやすさ」を取るかのスタンスの違いなので適材適所といったところか。
物語はビンラディンの右腕アフマドの潜む山岳地帯の偵察として4人の特殊部隊が送り込まれることから始まる。不遇にも現地民に見つかり一時拘束するが苦渋の決断を迫られる。ここに彼らのドラマは幕を開ける。
1.彼らを開放し自分達は山頂へ逃げる(ただし通報されタリバンに狙われる可能性あり)
2.彼らをここに拘束し自分たちは山頂へ逃げる(ただし彼らは野垂れ死ぬ可能性あり)
3.彼らを今殺す(ただしこの行いは非人道的であり大きな抗争につながる可能性がある)
結果をいうと彼らは「1」を選択する。これがタリバン200人対4人の死闘へと繋がるわけだ。彼らの選択が正しかったのかは誰にも分からない。ただ一人生き残ったマーカスは「選択は正しかった」とインタビューで答えている。
見せ場である銃撃戦だが僕は殺戮の残酷さより人の人生をまるごとエグっていく残酷さを感じた。
OPでシールズたちの家族やチーム内での訓練への苦しさ等を実際の映像と交えて表現している。その重みがまるごとこの抗争で重く重くのしかかる。
エンドロールは緊張の糸が切れたのか悲しさや切なさとは違った意味での虚無感に苛まれた。安堵感と喜怒哀楽のすべてが交じり合った複雑な感情だ。なにが「正義」なのかという問題提起の部分はイーストウッドにも似たものを感じる。
皮肉にもイーストウッドのアメリカンスナイパーの主人公クリス・カイルとこの作品の主人公マーカスは親友であったという事実。片方が160人以上を殺し片方はタリバン200人に囲まれてただ一人生き残った。戦争が絡んでいるとはいえなんとも言えない感情に陥る。
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