シンドラーのリスト【評価:72点】

シンドラーのリスト

あらすじ・概要

第二次世界大戦時にドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺(ホロコースト)が東欧のドイツ占領地で進む中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する軍需工場に必要な生産力だという名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描く。ホロコーストに関する映画の代表的作品として知られる。
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1939年9月、ドイツ軍によりポーランドが占領され、ポーランドの都市クラクフもドイツ軍の占領下に置かれた。ユダヤ人を激しく蔑視するナチス党政権下のドイツ軍はクラクフ在住のユダヤ人に移住を強制し、彼らをクラクフ・ゲットーの中へ追放していた。

そんな中、ナチス党の党員でもあるドイツ人実業家オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)が、クラクフの町へやってきた。彼は戦争を利用してひと儲けすることを目論み、潰れた工場を買い取って琺瑯(ホーロー)容器工場を開設。有能なユダヤ人会計士イザック・シュターン(ベン・キングスレー)に工場の経営を任せ、「安価な労働力」としてゲットーのユダヤ人を雇い入れ、また持ち前の社交性でSSの将校に取り入って自らの事業を拡大させていった。

しかしやがて冷酷なSS将校アーモン・ゲート少尉(レイフ・ファインズ)がクラクフ・プワシュフ強制収容所の所長としてクラクフに赴任して来る。ゲートとその部下のSS隊員達は、ゲットーや収容所でユダヤ人を次々と殺戮していく。シュターン初め、シンドラーの工場で働くユダヤ人たちにも危機が迫る中、金儲けにしか関心がなかったシンドラーの心境に変化が生じていく。そして彼はあるリストの作成を決意する。
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監督候補にはビリー・ワイルダー、マーティン・スコセッシ、ロマン・ポランスキーなどが挙がっていた。結局ユニバーサル側が提示した「『ジュラシック・パーク』の監督もやる」条件を受け入れスピルバーグが監督となった。1982年に原作の映画化権を手に入れたスピルバーグは、その後10年近く構想を練り企画を温めた後、この映画の制作に着手したという(スピルバーグ自身もユダヤ系アメリカ人である)。なお、スピルバーグは「血に染まった金は貰えない」として、監督料の受け取りを拒否している。

ラストシーンを除けば、ほぼ全編に渡りモノクロ作品である。これはスティーヴン・スピルバーグ監督の「戦争を記録したフィルムはモノクロだからその方が説得力があるだろう」という考えによるものである。ただし、パートカラーが採用され、赤い服の女の子(シンドラーに心理的影響を与える)、蝋燭の赤い炎などが登場する。赤い服の女の子のシーンだが、このシーンでシンドラーは「何故あんな目立つ格好をしているのか?ドイツ兵も何故すぐに捕らえないのか?」という疑問を抱いているが、この時点ではホロコーストの事実は既に日常的なものとなっており、女の子の服の色ほど明らかなことだったためとスピルバーグは語っている。それまで濃い色調がメインという点を除けば特有の映像スタイルを持たず様々な撮影監督と映画を作って来たスピルバーグだが、本作以降ポーランド出身のヤヌス・カミンスキーとの連携によって作品のルックスが劇的な変貌を遂げた(本作では手持ちカメラを用いてドキュメンタリー風の撮影法を多用)。

タイトル シンドラーのリスト
製作 1993年
原題 Schindler’s List
製作国 アメリカ
上映時間 195分
ジャンル 戦争
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 スティーヴン・ザイリアン
原作 トーマス・キニーリー
『シンドラーの箱船』
原題 Schindler’s Ark、
米国改題『シンドラーのリスト』
出演者 リーアム・ニーソン
ベン・キングズレー
レイフ・ファインズ

受賞 アカデミー賞1994年66回:作品賞/監督賞/美術賞/撮影賞/脚色賞/作曲賞/編集賞
ゴールデングローブ賞1993年51回:作品賞(ドラマ部門/)脚本/賞監督賞
日本アカデミー賞1995年18回:最優秀外国作品賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞1993年19回:作品賞/美術賞/撮影賞
英国アカデミー賞1993年47回:作品賞
ニューヨーク映画批評家協会賞1993年:59回作品賞

評価

72点

レビュー

一人のユダヤ監督の狂気にも似た執念

ユダヤの監督スティーブン・スピルバーグ。
ジョーズ、レイダース、E.T、インディ・ジョーンズ、未知との遭遇と彼は娯楽作に優れ多くの若者の支持を得てきた。ただこれらの作品はオスカーにノミネートはするものの受賞はできずにいた。

ゴリゴリの若者向けのエンターティナーとしてのブランドがこびりついてしまった彼にとってそれは大きな大きなジレンマであった。

事実、彼は自身「私にはオスカーは取れない」と発言している。

そんな彼が今あるブランドからの脱却を成し得たのがシンドラーのリストだ。彼の狂気にも似た執念が10年の時を経て具現化されたのだ。

戦争反対!ホロコースト反対!ユダヤ虐殺よくない!

そんな事誰だって言えるんです。
今の時代。

実際にそれは正しいのでしょう。
今の時代。

ただしシンドラーの生きるこの時代は違った。ドイツ軍に刃向かう事それは綱渡りをしながらライオンに喧嘩を売るような行為だった。

誰もライオンなんかに刃向かう事はしなかった。彼もまた時代をうまく利用した崇高な意思など持たぬ金儲け主義の一人のドイツ商人でしかなかった。

そもそもシンドラーはユダヤ狩りをされると彼の工場が閉鎖するから仕方なくと言う利己的な動機が始まりだった。

快楽主義者で女好きで道楽の限りをつくし浮気、借金 愛人から子供2人。決して偉人とは言えない行いを多々繰り返してきた。

そんな彼が何故1100人以上のユダヤ人を救う事になったのか?

この物語はただホロコーストに立ち向かう一人の男の物語ではない。

どのような人間でもこの時代が作り出す禍々しい狂気に翻弄される姿を描き出している。そう…時代、立場、場所によって人殺しなんてできない「あなた」であっても残虐なドイツ軍にも人を救うドイツ人にも虐殺されるユダヤ人にもなり得ることをこの物語は見せつけてきます。

最後に…
この物語はあくまで一つの面でしか語られていません。

シンドラー夫人は「この映画はあまりにも、美化している」と答えています。

ただ涙するのではなく。今の自分の環境、視点をフルに使って何が正しいのかよく考えてみるのもいいかもしれません。

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