グラディエーター【評価:74点】

グラディエーター

あらすじ・概要

帝政ローマ時代中期を舞台とし、ラッセル・クロウ扮するローマ軍将軍マキシマス・デシマス・メレディウスは皇帝アウレリウスと皇太子コモドゥスの確執に巻き込まれて家族を失い、自らも奴隷に身分を落とす。マキシマスはコモドゥスへの復讐を誓い、ローマ文化の象徴の一つである剣闘士(グラディエーター)として名を上げていく。

制作会社はドリームワークスで、監督は『エイリアン』、『ブレードランナー』などを製作したリドリー・スコット。主要キャストはラッセル・クロウ、ホアキン・フェニックス、コニー・ニールセン、オリヴァー・リード(これが遺作となった)、ジャイモン・フンスー、デレク・ジャコビ、リチャード・ハリス。

2000年5月5日に発表された同作は優れた映像美やストーリーから大きな商業的成功を収めた。批評家からも高い評価を得て、第73回アカデミー賞作品賞並びに第58回ゴールデングローブ賞ドラマ部門作品賞を受賞する名誉を受けた。

本作の成功を受けて、すぐに製作陣では続編として本編の前後を描いた作品が計画されたものの、現在に至るまで実現されていない。
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時代はネルウァ=アントニヌス朝のローマ帝国。平民出身の将軍マキシマス・デシマス・メリディアス(Maximus Decimus Meridius)は、ゲルマニア遠征で、蛮族との決戦を迎えていた。降服を説得するためローマ軍から遣わされた使者が斬首され、その首が晒されたのを皮切りに両軍の戦闘が始まる。ローマ帝国軍は東方属州からの弓兵隊や工兵隊のカタパルトを駆使して森林地帯に潜むゲルマニア軍に砲撃を与えた後、軍団兵を前進させる。高地に陣取る蛮族の軍勢に軍団兵は苦戦を強いられるものの、マキシマスは自ら騎兵部隊を率いて蛮族を背後から強襲して敵将を討ち取り、結果として勝利を得る。傷付き倒れる兵士達を目に、老境を迎えつつあった皇帝アウレリウスは膨張し続ける帝国の崩壊が近付いている事を悟るのだった。
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『Gladiator』のアイディアは製作を務めたデヴィッド・フランゾーニが提案したものであり、同時に脚本の初期案は彼の手で書き上げられた。フランゾーニは以前に製作・脚本として関わったスティーヴン・スピルバーグ監督による『アミスタッド』の商業的成功で、ドリームワークスから新たな映画の製作と立案を依頼されていた。フランゾーニは古代史に関する特別な興味を当初持たなかったが、ダニエル・マニックスの小説『Those About to Die』(1958年)に影響を受け、更に『ローマ皇帝群像』を読んだ経験からコモドゥス帝に関する映画製作を思い立った。草案では『ローマ皇帝群像』のコモドゥス伝には登場せず、ヘロディアヌスやカッシウス・ディオといった同時代人によって伝えられた剣闘士ナルソキッソス(コモドゥス帝を暗殺したとされる)がモチーフとされ、名前もそのままであった。しかしナルソキッソスに関する記述が乏しいためにさまざまな歴史人物がモチーフとして加えられ、独創的な主人公「マキシマス」を形作っていった。

タイトル グラディエーター
製作 2000年
原題 Gladiator
製作国 アメリカ
上映時間 155分
ジャンル アクション/歴史
監督 リドリー・スコット
脚本 デヴィッド・フランゾーニ
ジョン・ローガン
ウィリアム・ニコルソン
出演者 ラッセル・クロウ
ホアキン・フェニックス
コニー・ニールセン
オリヴァー・リード
デレク・ジャコビ

受賞 アカデミー賞2001年73回:作品賞/主演男優賞/音響賞(録音賞)/視覚効果賞/衣装デザイン賞
ゴールデングローブ賞2000年58回:作品賞(ドラマ部門)/作曲賞
英国アカデミー賞2000年54回:作品賞
MTVムービー・アワード2001年10回:作品賞
放送映画批評家協会賞2000年6回:作品賞/主演男優賞

評価

74点

レビュー

復讐の先にあるもの

生命とは実に不思議なものだ。
何かを成し遂げたいという信念が強ければ強いほどそのエナジーは強く燃え上がる。
それが正の感情、負の感情のどちらであろうとも…

今作の主人公である軍人ラッセル・クロウ演じるマキシマスがあえて望んだ感情は後者である負のエナジー。
そう。恨みと憎しみから生まれる復讐を彼は選択したのだ。

これは一度は妻子を殺され生きることを諦めたその男の復讐の物語。
その選択をした時点で彼の刹那にも似た運命はドクンドクンと鼓動を始める。

それは勝敗や名誉などではない皇帝への復讐のみ。

コロッセオ:ローマ時代に市民に政治の不満の目を向けさせないために狂気を併せ持つエンターテイメントとして昇華された建造物。

剣闘士、動物、罪人、殺戮、殺戮、繰り返される殺戮。そこに求められるのは民衆の歓喜と興奮の渦。死の条件という切符を賭けた生と生の削り合い。

マキシマスの復讐とその民衆の歓喜は交じり合いそして彼を「英雄」として浮上させる。

英雄でありながらどこか哀愁を漂わせる彼はこの復讐を終えた時その人生をどう振り返るのだろう?

美しい景色、カメラワーク、撮影、戦闘シーンという視覚効果。
シンプルな組み合わせは古典的でさえ思わせるがその構成だからこそスッと心に入ってくる。
そしてそれが情緒ある叙事詩を創り出しているのであろう。

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