ダラス・バイヤーズクラブ【評価:70点】

ダラス・バイヤーズクラブ

あらすじ・概要

1992年に『ダラス・モーニングニュース』の記事で取り上げられたロン・ウッドルーフ(英語版)の実話が基となっている。
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1985年ダラス、電気技師でロデオ・カウボーイのロン・ウッドルーフは「エイズで余命30日」と医師に宣告される。当時まだエイズは「ゲイ特有の病気」だと一般的には思い込まれており、無類の女好きであるロンは診断結果を信じようとしなかったが、詳しく調べるうち、異性との性交渉でも感染することを知る。しかし、友人や同僚たちに疎んじられ、徐々に居場所を失っていく。

治療薬のAZTは、当時臨床試験が開始されたばかりだった。AZTの存在を知ったロンは主治医のイヴ・サックスに処方してくれと迫るが、イヴは藁にもすがりたい患者の思いを知りつつも、「安全性が確認されていない薬を処方することはできない」と突っぱねる。その治験に協力していたのが、トランスジェンダーのレイヨンだった。

ロンはアメリカではエイズの認可治療薬が少ないことを知り、効果の高い未承認の治療薬を求めて国外へ向かう。世界各地で治療薬を入手したロンは、レイヨンと共に未承認治療薬を国内で捌く「ダラス・バイヤーズクラブ」を立ち上げる。

タイトル ダラス・バイヤーズクラブ
製作 2013年
原題 Dallas Buyers Club

製作国 アメリカ
上映時間 117分
ジャンル ドラマ
監督 ジャン=マルク・ヴァレ
脚本 クレイグ・ボーテン
メリッサ・ウォーラック
出演者 マシュー・マコノヒー
ジェニファー・ガーナー
ジャレッド・レト
受賞 アカデミー賞2014年86回:主演男優賞/助演男優賞/メイク・ヘアスタイリング賞
ゴールデングローブ賞2014年71回:主演男優賞(ドラマ部門)/助演男優賞

評価

70点

レビュー

病魔を背負ったアンチヒーロー

第86回アカデミー賞
主演男優賞マシュー・マコノヒー
助演男優賞ジャレッド・レト

2人はこの作品のAIDS患者を演じる上で-21Kgと-13Kgの減量。
(ちなみにマシニストでクリスチャン・ベールは-30kgの減量をしている。)

マシュー・マコノヒー演じるロンは酒と女をこよなく愛する快楽的で利己主義。
ゲイと役人を嫌い日々を過ごす電気技師で生計をたてる生粋のロデオカウボーイ。

医者からあなたはHIVに感染している。30日の余命だと診断されることから

彼の人生は一転する。差別するものが差別される側へ…

しかし彼は決して観るものに媚びずただひたすら自分の生きざまを貫き通す。
ここにHIV感染という病魔を背負ったアンチヒーローが誕生するのである。

当時のAIDS治療薬であったAZTに不審を抱いたロンは生き抜くためにアメリカで未承認の治療薬をメキシコで入手しそれらの薬をアメリカへ密輸する。

そして彼は非合法で会員に未承認の薬を自由に提供するというDBC(ダラス・バイヤーズ・クラブ)を組織することから国内で医薬品を認可するFDA(米国食品医薬品局)と国を巻き込み争う形となる。

ちなみにアメリカで新薬の承認に2年ほどかかるが日本ではさらに時間がかかり単純に倍の4年と言われている。ただ明日にも命を落とすかもしれない患者からすると気の遠くなるような時間を待つわけにはいかない。そこでこの対立が起こるわけだ。

ただこの作品で残念だと感じた部分はAZTの製薬会社やFDAを完全なる悪として描いていること。
新薬の承認にかかる時間はそれなりに理由がある。検証をしっかりしないとこれもまた命に関わるわけだ。そこには患者のみでなく家族など一人だけの世界ではなくなってくる。責任を持つことのできない新薬を承認することが出来ないのは当然なのである。
またロンが密輸した新薬が副作用のない良薬のように表現されていますが決してそんなことはなくAZTと同じように副作用もあるわけです。

またこれより先に同じテーマの「ノーマルハート」を見たのが点数を下げる結果になっています。こちらもかなりオススメで、すでにレビューを書いてるので是非。

ただロデオシーンを象徴するように常に命を落とす立場に自ら乗り込み果敢に挑んでいくマシュー・マコノヒーの姿は観るものを圧倒するだろう。

そして見事にトランスジェンダーを演じたジャレッド・レトもまたスピーチで「ダラス・バイヤーズクラブのチームの全員、3600万人のエイズで亡くなった方々、不平等に苦しんでいる方々が私たちとここに立っています。」と続き「1971年にルイジアナ州で10代の少女が2人目の子供を妊娠しました。彼女は高校を中退したシングルマザーでした。でも何とかして自分と子供たちのために暮らしを向上させました。僕に夢を持つことを教えてくれたことにひと言、ありがとうと言わせてください」と生きる希望を忘れてはいけないことを助演男優賞受賞時に答えている。

地味ではあるが生きるとは何か?をじっくり考える作品になっている。

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